日本文化を英語で簡単に説明する方法

※今回は、2018年9月18日にメルマガで配信した学習コラムをご紹介します。一部を加筆修正しています。

私は以前、スイスとドイツで1年半滞在した経験がありますが、当時実感したのは、「日本はヨーロッパの人たちにとって”遠い存在”だった」ということです。

日本の地理的な位置を把握していない人もいれば、日本とその他のアジア人が通常、英語を介さないと意思疎通できないことを不思議に思っている人もいました。

ドイツ人の友人にとって日本は遠い存在

スイスで仲良くなったドイツ人女性の自宅へ招待されたときのこと

雑談の際に「いつか日本にも遊びに来る?」とさりげなく尋ねたところ、彼女は少し考え、「う~ん、一生に一度ぐらいは行くかもね」という返事でした。

(そこまで決心が必要なことなんだなあ)としみじみ感じたのを覚えています。

これは1990年代の終わりの話で、今ほど外国人観光客が来日していない時代です。

現在はネット情報の助けもあり、日本文化への理解がかなり浸透していますね。

ただ、日本人にとってはあたりまえでも、外国人には説明しないとわからないことがまだまだ多いのではないでしょうか。

特に「言葉」に関しては配慮が必要です。日本語の名詞をそのまま言っても、相手が日本語を全く知らない場合はたいてい通じませんから。

英語で「Jiminto」と言っても通じない

以前、英語教室で政治関連のトピックをディスカッションした際、ある受講生が「自民党」を英語で何というのか忘れ、「Jiminto」とやってしまいました。

「the Liberal Democratic Party」または略語の「the LDP」と言えばよかったのですが、とっさに出てこないときはどうすればいいか・・・。

少なくとも、基本単語である「政党」=「party」を覚えていたら何とか乗り切れます。

「Jiminto party」と言えば、「ジミントウ、という名前の政党」という意味で一応通じるからです。

ぴったりした英訳のない日本語をどう表現する?

「自民党」の場合は現に英語名があるので、これはあくまで忘れたときの対応策です。

が、実際、「ぴったりした英訳が存在しない日本語の名詞」を説明するときに活用したいのがこの方法です。例をあげると、こんな感じですね。

〇 盆踊り:bon-odori dance =「ボン オドリ」と呼ばれるダンス・踊り

〇 松茸:matsutake mushroom = 「マツタケ」という名前のマッシュルーム

〇 金閣寺:Kinkakuji temple = 「キンカクジ」という名前のお寺

つまり、自分が説明したい物がそもそも何なのか、種類にあたる「dance」「mushroom」「temple」を後ろに付けることで、相手は(あ、ダンスの一種なんだ)(そういう名前のキノコね)というふうに想像できるのです。

同様に、”What’s 〇〇?”(〇〇って何?)と日本語の単語について質問されたら、”It’s a kind of △△.”(一種の△△です)と種類にあたる英語を入れます。

例)”What’s bon-odori?”(ボン オドリって何?)
- ”It’s a kind of dance.”(一種のダンスです)

これで「踊り」だということが伝わります。

もちろん「a traditional Japanese dance at summer festivals(夏祭りでの伝統的な日本の踊りです)」などと詳しく説明できれば、なお良いですが。

日本事象の説明は時事問題より難しい

日本の文化や事象を英語で正確に説明するのは、実は時事問題を論じるより難易度が高いのでは、と個人的には感じています。

たぶん、日本語でもそれらの意味を深く考えたり、かみ砕いて説明したりする習慣がないのが理由でしょう。

が、だからといって、すべて日本語だけで説明するというのは外国人に対してあまりにも不親切です。

自分の知っている範囲の英単語で、簡単にでもいいので「意味を伝える努力」をするのが気配りであり、「おもてなし」の精神だと思います。

以上、私自身の異文化体験に基づいた考え方をご紹介しました。

ご意見、ご感想がありましたら、ぜひコメント欄からお聞かせください。

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5 thoughts on “日本文化を英語で簡単に説明する方法

  1. Hannah より:

    相手にまったく馴染のない物事を言葉のみで説明するのはとても難しく、イメージを持っていただくというのは共感します。

    まず大雑把に、それがどのカテゴリーに入るのかを説明し掘り下げていくようにしています。行事なのか、食べ物なのか、などから始めて少しずつ狭めていき、お客様が興味を失ったところでお終い。中には「それは食べ物で、」と話しただけで満足される方もいらっしゃいますから、いつまでも事細かに説明しても疲れさせるだけです。

    日本人と海外の方々の視点はまったく異なりますね。何度も訪れている場所でも私にはまったく見えていなかったということはよくあります。お寺の門の両脇に仁王像が配置されていますが、その後ろに同じようなスペースがある門があります(京都・清水寺にはあります)。「それは何のため?何か以前はあったの?」と聞かれたことがあり、咄嗟に作り話をした苦い思い出があります。

  2. sunflower より:

    私も少しだけ、ボランティア通訳として、海外からのお客様をガイドしたことがあります。その研修で、先輩ガイドが「百万石」(金沢では、今でも「百万石」と商品やイベントにネーミングしたがる)をとてもうまく説明されていました。こんな感じです。

    In the feudal age, Japan was divided into many countries and regions. The wealth of each region was calculated by the amount of rice they produced. 一石 of rice can feed 1 person a year. So, one million 石 of rice was huge!!! That’s why The Tokugawa shogunate carefully watched over Kanazawa.

    海外の方の文化や背景からイメージできる情報を提供してあげるのも、大事なのだなあ、と感じました。まさに、英語力プラス心遣いなのでしょうね。ただ、本当にどう説明してよいかわからないときはとにかく、シンプルにわかりやすい言葉で代用する機転も必要だろうと思います。

  3. Misha より:

    自分の国のことを英語で説明するのは難しいですよね。聞かれて初めて曖昧にしか知らなかったと気づくことも多いです。それと、屋根瓦、木に巻かれているワラ(「こも巻き」と言うのですね!)、セミとその鳴き声等、日本人なら当たり前で気にも留めないことを「あれは何?」って聞かれて新鮮だったのを思い出しました。ちなみにセミを巨大なハエだと思った方がいました。^^

  4. ともへび より:

    今回も興味深いトピックありがとうございます。
    日本事象は、昔通訳ガイドの勉強をしていた頃、必死に英文説明を暗記したことを思い出しました。

    近い英単語で補足してイメージを持っていただく方法は有効ですね。実体験でも、過去何度か、出張で来日した米人を食事にお連れすることがありましたが、例えば、お好み焼きをJapanese style pizzaとご説明したところ、快く試してもらえた記憶があります。

  5. 松田雅美 より:

    日本の文化や事象を英語で説明するのは本当に苦労します。ボランティアで英語ガイドをしていますがコロナのため休止中なので、今が勉強時と思いインスタグラムを始め、英語で日本文化や地域のお薦めスポットなどを紹介しています。そこで気付いたのが、日本文化などを一から説明するほど知識がないということです。何気なく暮らしていると意識しないものですね。それを英語にするには更に苦労しています。

    この記事を読んで、まずはそれが何かをわかるようにする、という方法を知り気持ちが軽くなりました。読み手から見ても分かりやすいですね。ありがとうございました!

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