大坂なおみ優勝を報じた海外メディアの露骨なセリーナびいき

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優勝した大坂なおみ(前)と準優勝のセリーナ・ウイリアムズ(後ろ)

VOAで読み解く2018年全米テニス女子決勝

VOAは「Voice of America」の略称で、アメリカ政府が運営する国営放送です。有名なので、以前からご存じの方も多いかと思います。

今回は、このうち英語学習サイトである「VOA Learning English」の中から、「What’s Trending Today」の記事を幾つか抜粋してご紹介します。

「What’s Trending Today」は、SNSで話題になっている「旬のネタ」をやさしく書き下ろした英文記事シリーズで、音声も付いています。

What’s Trending Today:The day’s hottest issue in social media.

初心者でも理解できるように、という配慮からか、音声の速度はかなり遅めです。(もっとナチュラルスピードに近いものがあれば)と、そこだけが少し残念です。

(2018年の)全米オープン女子シングルス決勝では、セリーナ・ウィリアムズ選手の激しい言動が大きな波紋を呼びました。

主審の判断に猛抗議するセリーナ・ウィリアムズ

※2022年2月追記

“You are attacking my character.(私の人格を攻撃してる)””You owe me an apology!(謝罪しなさいよ)””You are the liar!(嘘つき!)”と、主審に次々と罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせています。

BBC News Japan より引用

全米テニス協会(USTA)は9日、女子シングルス決勝で敗れたセリーナ・ウィリアムズ(米国)に対して、主審を「うそつき」や「泥棒」と呼ぶなどした違反行為について1万7000ドル(約189万円)の罰金を科した。

ウィリアムズの行為、そして主審の判断について、テニス界でも賛否が分かれている。

ウィリアムズ(36)は、客席のコーチから指示を受けたとして規則違反の警告を受け、その後ラケットを地面に叩きつけてポイント・ペナルティー、暴言を吐いてゲーム・ペナルティーをそれぞれ取られた。ウィリアムズはこの試合で、大坂なおみ(20)にストレート負けした。

ウィリアムズは試合後、ゲーム・ペナルティーを科されたのは「性差別的」だと話した。


私自身は彼女の態度を全く擁護できず、厳しい処分を受けるべきだと思っています。

が、そのいっぽうで、セリーナ選手がこれまで、人種差別や性差別の問題と闘ってきたことも聞いていたので、あの試合では、(そういう意識があって過敏に反応しちゃったのかな)という気もしています。

薬物反応の検査頻度を差別的と感じたセリーナ

全米オープンの開幕前、「What’s Trending Today」にこんな記事が出ているのにたまたま目が留まりました。

Serena Williams Says Frequent Drug Testing Is ‘Discrimination

この記事では、「セリーナは、他の選手たちの2倍以上の頻度で薬物反応の抜き打ち検査を受けてきた」とあります。で、そのことを本人は「差別的だと感じている」とも。

ある期間に限って偶然そうなったのか、長期にわたって常にそうなのか不明ですが、男子並みのパワーで圧倒するプレー・スタイルから、目を付けられやすかったのかもしれません。

また、アフリカ系アメリカ人の絶対女王であることから、(薬物検査とは別に)やっかみで人種差別を受けてきたことも容易に想像できます。

セリーナ・ウィリアムズとの対戦が大坂なおみの夢だった

そんな中で迎えた全米オープン女子シングルス。「大坂なおみ×セリーナ・ウィリアムズ」の決勝戦の直前には、こんな記事がアップされていました。

Williams vs. Osaka: A Dream Match at the US Open

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Osaka added, “I always dreamed that I would play Serena in the final of a Grand Slam.”

Osaka’s dream has come true. Williams easily won her semifinal match Thursday against Anastasija Sevastova of Latvia.

大会が終わってから改めて見ると、この記事はそれとなく「決勝ではセリーナが勝利する」ことが前提となっていたようにも読み取れます。

「グランド・スラムの決勝で、セリーナと対戦するのが大坂の夢だった。そして、彼女の夢はセリーナが準決勝で圧勝したことによって実現する」という趣旨になっているからです。

が、なおみさんの発言には言外の意味が隠されています。

“I always dreamed that I would play Serena (and beat her) in the final of a Grand Slam.”

⇒ 当然、(  )内の「and beat her」を補って解釈すべきでしょう。

「決勝で対戦する」ことに満足するのではなく、「打ち負かして優勝する」のが目標だったはず。実際、大坂選手は「決勝で負けることを夢見ていたんじゃない」って発言してますから。

その結果、彼女は見事に夢をかなえたわけですね。

VOA記事はセリーナ支持の発言だけを掲載

そして、(2018年当時の)最新記事はこちらです。やはり、あの騒動について言及されています。

Naomi Osaka Is First Japanese Tennis Player to Win Grand Slam

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Billie Jean King is a former top-ranked player and a women’s rights activist.  She wrote on Twitter in support of Williams.

“When a woman is emotional, she’s “hysterical” and she’s penalized for it.  When a man does the same, he’s “outspoken” & and there are no repercussions,” King wrote.

Several male tennis players, including Andy Roddick and James Blake, also came out in support of Williams.

つくづく感じるのが、(VOAはやっぱりアメリカ発の記事だなあ)ということ。

セリーナ選手を応援する往年のプロ選手たちの発言だけを掲載して、彼女を批判する声には触れていないんですよね・・・。

アメリカ国内で統計を取ったら、支持派と批判派のどっちが多いんでしょうか。世界全体でいくと、もちろん後者だと思いますが。

「男子プレイヤーには審判はもっと甘い」という意見、どうなんでしょうね。

もし、ジョコビッチ選手があんな感じで激高して暴言を吐いたら、大ブーイングになって同様の警告とペナルティーを食らうはず、と個人的には感じますが。

こんなふうに、いろいろ世相を読み解きながら英語に触れると面白いです。

2018年全米オープン表彰式を振り返って

※2022年2月追記

この前代未聞の大騒動の中、冷静さを失わずにグランド・スラム初優勝をもぎ取った大坂選手の精神力と強運には改めて感嘆します。

と同時に、セリーナ選手と地元アメリカの観客に遠慮して、表彰式で喜びを全く表せなかった様子も脳裏に焼き付いています。


正々堂々と戦って優勝したのに、大坂選手が満員の観客からブーイングされたのは理不尽です。 自分が勝ったことを “Sorry…” と謝らねばならないとは。

この痛ましい光景を観た当時、私は少しだけ危惧していました。

もしこれが「彼女の生涯唯一のグランド・スラム優勝」になるとしたら、(一生の想い出となる晴れ舞台を、こんな形で奪ったセリーナの責任は重いぞ)と。

が、そんな心配をよそに、大坂選手は続く全豪オープンも制覇し、2022年2月現在までグランド・スラムで4回優勝しています。

数年が過ぎた今だからこそ、冷静に振り返ることのできる出来事だといえます。


※この学習コラムは、2018年9月11日に「まぐまぐ!」から配信した「日刊2分で読めるやさしい英語ニュース」を2022年2月に加筆修正したものです。

「まぐまぐニュース」に掲載後、さらにInfoseekやGoo、ライブドアなど、複数のメディア・サイトに転載されました。

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