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幹細胞論文の撤回を共著者が要請  【2014年03月12日】

Co-author calls for retraction of stem-cell paper

Step1>> 英語ニュース全体をリーディング

最初に英語ニュース全体を通して読み、だいたいの意味をつかみます。この段階では単語や構造、文法の疑問点があってもかまいません。

Co-author calls for retraction of stem-cell paper

A Japanese researcher on a breakthrough method to create stem cells urged his co-authors on Monday to retract their papers published in Nature after crucial mistakes were found in its findings.

Step2>> 重要単語と語句

retraction(名詞):撤回
stem cell:幹(かん)細胞

breakthrough(形容詞):画期的な
crucial(形容詞):重大な

Step3>> 頻出表現と文法のミニ解説

◆ A Japanese researcher on a breakthrough method
= 画期的な手法にたずさわったある日本人研究者

「a breakthrough method」はSTAP細胞の作製を指しています。この手法にかかわった研究者のひとりがこの英文の主語になっています。

「researcher」のほかに「scientist(科学者)」と表記した英文メディアもあります。

◆ retract their papers published in Nature
= ネイチャーに発表された論文を撤回する

「Nature」は権威ある英科学誌の名前で固有名詞です。「papers」の後に関係代名詞節「which were」を補い、「published」は受け身と解釈します。

Step4>> スラッシュ・リーディング ~ 区切り読みしてみよう

英文を頭から理解できるよう、意味のかたまりごとにスラッシュ「/」で区切って読んでいきます。ひとつの区切りから次へ進むときに(誰が → 何をした → なぜ)というように、続く内容を予想しながら読むのがコツです。

Co-author calls for / retraction of stem-cell paper

A Japanese researcher / on a breakthrough method / to create stem cells / urged his co-authors / on Monday / to retract their papers / published in Nature / after / crucial mistakes were found / in its findings.

Step5>> サイト・トランスレーション ~ 頭から順に和訳してみよう

スラッシュで区切った上の英文テキストを見て、区切りごとに日本語に訳していきます。後ろから返り読みせず、頭から読み進めるようにしてください。まず自分でサイトラをしてから、下の和訳例を見て比べてみましょう。

<和訳例>

共著者が要請、/ 幹(かん)細胞論文の撤回を

ある日本人研究者が、/ 画期的な方法の、/ 幹細胞を創造する、/ 共著者らに促した、/ 月曜日、/ 論文を撤回するよう、/ ネイチャーに発表された、/ 後で、/ 重大な誤りが発見された、/ 研究結果に。

Step6>> リプロダクション ~ 和文から元の英文を再生してみよう

今度は逆に、スラッシュで区切った上の日本語テキストを見て、元の英文テキストを思い出しながら順に英語を再生していきましょう。

<解答をチェック!>

共著者が要請、
Co-author calls for

幹(かん)細胞論文の撤回を
retraction of stem-cell paper

-----------------------------------------------------

ある日本人研究者が、
A Japanese researcher

画期的な方法の、
on a breakthrough method

幹細胞を創造する、
to create stem cells

共著者らに促した、
urged his co-authors

月曜日、
on Monday

論文を撤回するよう、
to retract their papers

ネイチャーに発表された、
published in Nature

後で、
after

重大な誤りが発見された、
crucial mistakes were found

研究結果に。
in its findings.

Step7>> スピード音読 ~ 仕上げ読みしてみよう

最後に、英文テキストをできるだけ速く音読してください。読みながら意味が頭にすっと入ってきたらOKです。

Co-author calls for retraction of stem-cell paper

A Japanese researcher on a breakthrough method to create stem cells urged his co-authors on Monday to retract their papers published in Nature after crucial mistakes were found in its findings.

※参考記事: ニュースの背景知識を深めよう

~asahi.com より~

STAP論文、撤回視野に検討 理研が表明

新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文について、内容の不適切さを問う指摘が相次いでいる問題で理化学研究所は11日、記者会見し、論文の撤回を視野に検討していることを明らかにした。

理研が設置した調査委員会の結論を踏まえ判断する。14日に調査委が記者会見し、経過を説明する。

STAP細胞をめぐっては、英科学誌ネイチャーに掲載された論文で画像の使い回しや記述の盗用の疑いが指摘されてきた。

さらに、重要な論拠となった画像が筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの博士論文の画像と酷似しているとの指摘が出たことを理研は問題視。「重く受け止め、調査を開始した」とした。

 

編集後記

3月11日は東日本大震災の3周年にあたるため、当初、この関連ニュースを取り上げるつもりでした。

が、例年と異なる新たな展開や切り口が見つからず、ここ数日気になっていた「STAP細胞の論文撤回問題」に変更しました。

私も科学者ではないので、研究についてあれこれ意見を述べることはできません。

ただ、素人目にもなんだか不自然に映った点がひとつ。たぶん、同じ印象を持った方が多いのではないでしょうか。

今回、論文の撤回を呼びかけた共著者のひとり、山梨大の若山照彦教授と筆頭著者の小保方晴子ユニットリーダーの間の意思疎通は十分なのか、という疑問です。

月曜日の記者会見で若山教授は小保方さんと「連絡が取れない」と述べており、また、翌火曜日は彼女から「メールで謝罪の返信があった」と・・・。これには唖然としました。

(え、この期に及んで"メール"だけなん?すぐ会うのは地理的に無理としても、こんな大騒ぎになってんのに"電話で話し合う"とかないわけ??)

さらに、「論文で使われた画像についての疑念を小保方さんに直接確認したのか」という記者の質問に対し、若山教授の回答は「いや、普段からあんまり返信をもらえてなくて・・・」「ショックが大きすぎて本人に質問できていない」。

う~ん、・・・なぜ、そういう状況になるのか理解不能です。もしかしたら、何か事情があってあのような発言をされたのでしょうか。

とはいえ、現段階では不明な点も多く、今まで持ち上げてきた高度な研究を部外者たちが手のひら返しで「捏造」と糾弾するのもちょっと短絡的かもしれません。

金曜日に予定されているらしい理研の発表を待ちたいと思います。

 

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