効果的なスピーキングの訓練方法

今週は、主に「発音とリスニングへの苦手意識から中級で伸び悩んでる方」を対象に、上級レベルに飛躍するカギとして「英語の音の仕組み」に関する特別コラムをお届けしています。

今日はその4日目です。これまでの学習コラムの内容はこちらです。

4日目のテーマは「効果的なスピーキングの訓練方法」です。

発音分析スクリプトの音読反復で英語の音を覚える

私のクラスで英語ニュースの音読トレーニングをする際、「発音分析の記号」の入ったスクリプトを配布していることを前回お伝えしました。

発音分析とは、次の例のように、ネイティブ音声のナレーションを「強勢のある母音」「単語の連結」「子音の脱落」の観点から分析し、色分けや下線の形で印を入れたものです。


赤色:内容語の母音 ⇒ 大きな文字:強勢のある母音

下線:子音+母音の連結
( ):子音の脱落


Tokyo governor displeased / with Olympic marathon switch

Tokyo Governor Yuriko Koike / showed an apparent expression o(f) displeasure on Friday / over the International Olympi(c) Committees abrup(t) decision / to move the marathon an(d) race walking events next year / to the northern city o(f) Sapporo / in order to avoi(d) the extreme summer heat in the capital.

発音分析済みのスクリプトを見れば「英語の音の仕組み」が視覚的に目に入りますから、シャドーイングやリピーティングのときに意識せざるを得ません

逆に、これらの発音ルールが完全に身についていない状況で「分析記号のない英文スクリプト」を音読すると、日本語訛りのカタカナ発音に逆戻りする人がけっこういます。

なぜそうなるのかというと、「強勢のある母音」「単語の連結」「子音の脱落」などの発音ルールがどの部分に適用されるのか、文字を見て瞬間的に理解できるレベルに達していないからです。

たとえば、「put it」という文字列があれば、ネイティブ音声を聞かなくても、「プディッ」のような音が一瞬で思い浮かぶぐらいでないと、発音ルールを勉強した意味があまりありません。

「プットイット」と、相変わらず日本語訛りで平然と音読しているようでは、せっかく学習した「シラブル」も「子音止め」も結局は習得できていない、ということになります

とはいえ、私たちは日本語の音に囲まれて生活してますから、長年のカタカナ発音から脱却するのに苦労して当然です。

これを短期間で克服するには、何度も何度も反復練習して、自分の身体に「英語の音」を覚えこませるしかありません

「発音分析」の英文スクリプトは、それをを助けるための補助ツールです。

自然なスピーキングの土台となる発音分析作業

最終的には、この発音分析を自分でできるようになって初めて、「発音が身についた」といえるのです。

このため、私のクラスでは、自作の英文を音読するときの発音分析を毎週の予習課題として課しています。

英語ニュースの発音分析スクリプトを参考に、「自作の英文のどの母音に強勢を置き、どの単語を連結・脱落させて読めば英語らしく聞こえるか」を自分の頭で主体的に考えてもらうためです。

これは新しい試みですが、なんと、開始から2,3週間ほどで全員ができるようになりました。

ビジネスで仕事を使う人ばかりでなく、普段の生活で英語とは無縁という60代の専業主婦の方もいらっしゃいます。

参考事例)受講生による自作英文の発音分析

発音分析に完全な正解や不正解はなく、あくまで「英語話者の自然な音読」という観点から、私が気づいた点をフィードバックしています。

「子音の後に機能語の母音だから、つなげて読むと思うよ」
「この子音を脱落させたら違う単語に聞こえるのでは?」

など、ときには奇想天外な分析結果に驚きながら、受講生の皆さんと楽しみながら検証しています。

この「自作の英文の分析」こそが、その先の「自然な発音でのスピーキング」につながっていくのです。

独学で発音分析をされる方は、やさしい英語ニュースの音声付版「発音ルール」「英文の強弱リズム」を参考にしてください。

スピーキング速度と精度の測定方法

発音分析のコツがつかめたら、いよいよスピーキング練習に入ります。

スピーキング訓練をするときは、「スピーキング速度」「スピーキング精度」の2つの観点から内容を測定してみましょう。

■ スピーキング速度: 30秒に5センテンス以上の英文を話せる

「英会話1000本ノック」の著者であるスティーブ・ソレイシィ氏が国連で交わされる会話を調査したところ、

世界水準の英語を話せる人は、平均して1分間に10~20センテンス、または30秒間に5~10センテンスの英文を話していたそうです。

これ以下の数値になると、長い空白の時間ができたり、途切れ途切れになったりして、スムーズに会話している感じにならない、とも指摘しています。

※「主語+動詞+目的語」「主語+動詞+補語」などの単文ごとに数えます。

例) [When I came home yesterday,][my brother was studying in his room.] = 合計2文

ただし、これはだいたいの目安なので、英文の数え方をあまり神経質に考える必要はありません。

自分のスピーキング速度を測定するには、「日本語で楽に説明できる話題」を選び、30秒で何センテンス話せたかを後で数える方法がお勧めです。

例)次のうちいずれかのトピックを選び、タイマーを30秒にセットして録音しながら話してみましょう。

1) 仕事  2) 家族  3) 趣味

終わったら音声を再生し、何センテンス話したか数えてください。→ 30秒に5センテンス以上なら合格です。

参考例)「仕事」について

※次の英文をネイティブ・スピーカーが音読すると、10~15秒ぐらいで終わります。

I work for a computer company in Tokyo. Last week was the busiest time of the year. I’m lucky to have steady income, but this job is challenging. I want to do something else in the future.

【ネイティブ音声:所要時間11秒】

■ スピーキング精度:文法ミスや不自然な表現の少ない英文を組み立てられる

スピーキング精度に関しては自己診断が難しいため、もし余力があれば、先ほど録音した30秒スピーチを文字に書き起こし、信頼できるネイティブ講師に英文を添削してもらう、などの方法がお勧めです。

参考)アルクの英語スピーキングテスト「TSST」のレベル概要とサンプル音声

ビジネスで英語を使用する人は、だいたいの目安として「レベル6」以上、スピーキングが得意な人は「レベル7」以上をめざすのが1つの指標です。

以上、スピーキング学習のご参考になりましたら幸いです。

「英語の音の仕組み」に関する特別コラムは、今回でひとまず終了です。

当初はもっと短くまとめるつもりでしたが、伝えたいことがいろいろあってつい力が入り、毎回長めのコラムになってしまいました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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