ZOZO前澤氏の英語スピーチに学ぶメンタル

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※ISSに滞在したZOZO創業者の前澤友作さん

2018年の前澤氏の英語スピーチを振り返る

※今回は、2018年9月21日に配信した学習コラムを加筆修正してご紹介します。

ZOZO創業者の前澤友作さんは2021年12月、日本の民間人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)への渡航を実現しました。

参考記事)ZOZO創業の前澤さん、宇宙ステーションに到着

BBC News Japan:  2021年12月9日

日本の衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前澤友作さん(46)が8日、ロシアの宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)へと出発し、宇宙空間に到達した大富豪の仲間入りをした。

同日夜(日本時間9日未明)にISS内に入り、滞在を開始したと報じられている

超高額な「100億円の宇宙旅行」を果たした前澤さんは、同年12月20日に地球へ無事帰還しています。

※以下の学習コラムでは、ISSへの搭乗が決まった2018年9月当時、前澤さんがアメリカで英語スピーチを披露したときの様子を取り上げています。

前澤氏のスピーチに対する2つの評価

民間宇宙開発会社スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、同社ロケットの最初の搭乗者として前澤友作氏を聴衆の前で紹介し

それに応えて、彼が自己紹介を兼ねた英語スピーチを披露していましたね。

ニュース番組ではごく一部しか紹介されていなかったので、Youtube検索してみると、次の動画がヒットしました。

Meet SpaceX BFR’s First Paying Customer – Yusaku Maezawa(2018年9月18日)

この前澤氏のスピーチが日本人にどう受け止められているのか、こちらもざっと検索したところ、

英語を理解する人たちの間では、おおむね以下の評価となっているようです。

1) 英語スピーチの内容に関して → すばらしい

2) 英語の流暢さについて → 日本語なまりが残念

1)英語スピーチの内容

1)については、日本人として参考になる要素がたくさん上がっています。

✅ 登壇したときに、まず主催者と聴衆にお礼を述べて気配りを見せている。

✅ 名前が発音しにくいので、「MZ(エムズィー)」の愛称で覚えてもらおうとしている。

✅ シンプルでわかりやすい英語で構成されている。

✅ 聴衆への語りかけ方が絶妙で、話にうまく引き込んでいる。

2)英語の流暢さ

2)の「英語の流暢さ」、これを重視すべきかどうか難しいところです。

英語の発音や表現そのものに注目すると、確かに日本語なまりが強く、

「excited」と「exciting」の混同など、文法的なミスもちらほら見受けられました。

ただ、このスピーチの趣旨は聴衆に伝わっていたようなので、そこが一番重要なポイントだと思います。

もし、前澤氏が「英語に自信がないから」といって通訳同伴で登壇し、日本語で演説したとしたら、なんだか退屈な展開になっていたのではないでしょうか

「英語がうまくないんです」の謙遜は不要

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※ISSから帰国後の2022年1月、東京で記者会見する前澤さん

英語スピーチの内容に関して、ひとつだけ(ちょっと余分だな)と感じたのは、「I cannot speak English very well.」という前置きを入れていた点です。

その人の英語スピーキング力は聞いていればわかりますから、わざわざ「あまり上手じゃない」と強調する必要もなかった気がします。

とはいえ、アメリカへ乗り込んでマスコミに注目されながらの英語スピーチですから、緊張してしまうのが普通です。

それを堂々とやってのけるあたりが、やはりタダ者ではありませんね

前澤氏のように、「英語で話したい内容や意欲」が十分にあって、あと「発音や表現力さえ備わっていれば」という人は上達しやすいと思います。

本人がその気になって訓練すれば、少なくとも「外国人に通用する英語力」を習得するのは、そんなにハードルの高いことではないからです。

逆に「興味や関心の幅が狭く、無口で内気な人」が英会話力を磨くのは、元来の性格も影響しているのでなかなか大変です。

通訳ガイド二次面接で「5分だけ演技しろ」の助言

そういえば昔、英語通訳ガイドの二次面接(所要時間は約5分)を受ける直前、新大阪のガイド予備校のある先生が、私たち受験生たちにこんな助言をしてくれました。

「おとなしい人は、5分間だけ自分の性格を無理やり変えるんやで

“ひとり旅が好きです”とか、そんな意味の発言をしたら絶対あかん。

通訳ガイドになるための適性試験やろ。

“集団でわいわい旅行をするのが好きです”って、嘘でも言うんや

・・・と、まあ、こんな無茶なアドバイスをよくぞ真剣に実行したものです。

(幸い、私は想定した山が当たり、初受験で乗り切りました。)

が、中には「英語を話すときは日本語のときと性格が変わる」タイプの人もいるそうなので、あながちデタラメな話でもないのです。

通訳ガイドに限らず、「社交的でおしゃべりな人」「細かい間違いを気にしない人」のほうが英会話が上達しやすいのも事実です。

ちなみに、このアドバイスをくださった先生は名物講師で、一次筆記試験の講義を担当していました。

授業そのものも面白かったのですが、合間の小話を聞くのが大きな楽しみでもありました。

「慣れたら、満員の通勤電車でも通訳ガイドの試験勉強できるで。

『300選(日本事象の虎の巻)』の本、あらかじめ顔の前で開いとくんや。

で、電車が到着したら横向きになって、人混みにまかせてカニ歩きでなだれ込め。

車内では片手でつり革を持って、鉛筆を片耳にはさんどく。

もう一方のあいてる片手で、器用にページをめくるんや。

・・・こういう感じで、ユーモアあふれる授業を毎週展開されたものです。

話術に長けているためか、この先生は、通訳ガイドの二次面接も一発合格したそうです。

だからこそ、「二次面接で5分間だけ演技しろ」の助言がストンと腹落ちしたのでしょう。

私が通訳ガイド試験を受けたのは1998年。今となっては懐かしい思い出です。


以上、「英語を話すときのメンタル」について、ご参考になりましたら幸いです

このTopicに関してご意見、ご感想がありましたら、ぜひコメント欄からお聞かせください。

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2 thoughts on “ZOZO前澤氏の英語スピーチに学ぶメンタル

  1. Misha より:

    Aki先生とともへびさんのコメントに思わず反応。私も「新大阪のガイド予備校」組です!私は基本内気で1人で行動するのが好きな人間ですが、この学校のテキストをひたすら音読し覚えた後は鏡に向かって(笑顔で!笑)暗唱、落ち着いて面接試験をクリアしました。

    また、英検の面接対策では100以上のトピックについて英文を作り、覚え、こちらも鏡の自分に向かって暗唱。面接本番無事乗り切りました。ネイティブと話すチャンスが無い、自分は人前で話すのが苦手と言う方も、声を出して英文を口にすることで効率よくスピーキングの練習ができると思います。^^

  2. ともへび より:

    今回も興味深いトピックありがとうございます!

    英語って、特にネイティブの方と話す時、テンションを上げるスイッチを入れる必要がありますよね。もともと声のデカい関西人ですが、更にうるさくなるような…(笑)

    私も新大阪のガイド予備校で「5分だけ演じろ!」と同じように洗脳され(笑)、2007年に通訳ガイドの面接を初挑戦でなんとか乗り切ったのは懐かしい思い出です。

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