「ハーフ」記者が感じた“日本人度”への疑問

※今回は、2018年9月13日にメルマガで配信した学習コラム「多文化をルーツに持つ人への理解」をご紹介します。一部を加筆修正しています。

「多文化をルーツに持つ人」とは、両親の人種や国籍が異なり、また、生まれた国と育った国が異なるような環境を経験した人です。

世界で活躍している女子テニスの大坂なおみ選手は、まさにこのどちらにもあてはまっています。

ハイチ系アメリカ人の父親と日本人の母親のもとに大阪で生まれ、3歳でアメリカへ渡ったという経歴を持っているからです。

私たち日本人は、特に、アジアではない異文化の血が入っている人を昔から何気なく「ハーフ」と呼んでいますが、本人たちはそれをどう感じているのでしょうか。

「ハーフ」の“日本人度”を審査する人たち

このテーマに関連して、昨夜、母親がポーランド人の記者によるこんな記事を見つけました。

「ハーフ」の記者が感じた、テニス・大坂なおみを巡る「日本人らしさ論」への疑問

こういう記述を見ると、つくづく(日本は単一民族の国なんだなあ)と実感します。

この筆者のように、たとえ日本で生まれ育っていても、見かけが外国人っぽいという理由だけで「日本語うまいねえ」なんていわれてしまうとは

「日本語じょうずですね」とほめられて仰天した話

私自身は両親が日本人なので、見た目で外国人に間違えられたことはありません。

が、一度だけ、JICAの技術通訳で外国人研修員たちと生物学系の研究室に入ったとき、なぜか、そこにいた研究生の男性から突然、

「日本語、じょうずですね!」と言われて仰天したことがあります

なんでも、私が外国人研修員たちと英語で会話していたので、日系アメリカ人かアジア系研修員と勘違いしたみたいです。

単なる早とちりだったのですが、母国語である日本語をほめられて、最初はからかわれているのかと戸惑いました。

上記の記者のような多文化ルーツの人は、日常的にこういう経験をしているのかもしれません。

「アメリカ人らしさ」を定義するのは難しい

この記事には賛否両論が出ているようですが、私は正論だと思いますし、大いに賛同できます。

「日本人度を審査する」なんて発想は、人種のるつぼといわれる多民族国家のアメリカではそもそも出てこない気がします。

祖先が外国から移住してきた「〇〇系アメリカ人」が多数いますから、「見た目がアメリカ人らしくない」という主張自体が意味不明になります。

大坂なおみを「日本人として応援できない人たち」の言い分

いっぽうで、大坂なおみさんを「他の日本人選手のように純粋な気持ちで応援できない」という人たちの感情も、ある程度は理解できます。

彼女がセリーナ選手ばりのパワーテニスで相手を圧倒できるのは、やはり、黒人系の血を受け継いでいることと無関係ではないでしょう。

※注)「アフリカ系」のほうが丁寧な語感ですが、なおみさんのルーツである「ハイチ」は「アフリカ」ではないので「黒人系」と表現しました。

もともとテニスの才能がずば抜けている上に、アジア系の選手がもっていない抜群の身体能力が加わるわけですから、断然有利です。

でも、それは彼女が神様に与えられた武器なので、自分らしさとして大いに生かせばいいと思います。

最近、陸上スポーツや高校野球の世界でも、黒人の血を受け継ぐ選手たちが日本人として活躍しているのが目立ちます。

どのスポーツでも、選手本人が「日本人として戦いたい」という意思表示をしている限り、それを受け入れて応援すればいいんじゃないしょうか。


英語学習をする上で、異文化や多文化への理解は避けて通れないので、今回はこのテーマを取り上げました。

ご意見、ご感想がありましたら、ぜひコメント欄からお聞かせください。

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1 thoughts on “「ハーフ」記者が感じた“日本人度”への疑問

  1. sunflower より:

    私の勤めている高校には、少数ですが、ハーフも含め、様々な国籍の学生がいます。それぞれの生徒の風貌も多様ですが、どの言語を普段一番使っているか、もまた各生徒の環境によって違うようです。

    例えば、2年生になり担当となった、Nさんは見た目は大坂なおみさんのようで、素晴らしいスタイルです。彼女と初めて話したとき、とっさに ”Do you speak Japanese?” と英語で声をかけました。すると、Nさんは恥ずかしそうに、「え、あ~、私英語わからないんで」と流暢な日本語で答えました。彼女は日本で生まれたので英語は他の生徒と同じで、少し苦手なようでした。自分の preconceived image に気づかされ、苦笑した覚えがあります。また、Nさんは自分が目立ってしまうのを恐れての返答のようにも見えました。

    SNS の普及で情報が瞬時に世界に拡散する時代ですが、日本はまだ「単一民族」的発想が主流だし、同調意識も強い気がします。まあ、それが島国らしさ、とも言えるのかも。。。ですが。

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