毎日できる通訳式訓練法:ディクテーション
聞き取った英文を正確に書き写していく練習法が「ディクテーション(dictation)」です。通訳式というよりも一般的な英語学習法ですね。
手を動かして英文を書くことで、「どの程度正確に聞き取れているのか」を自分で把握でき、また英文を記憶しやすくなってライティング力のアップに役立ちます。
初めて聞く英文の場合、1つの文を全部聞いてから正確にディクテーションするのは困難です。
そこで、「意味のまとまり(=チャンク)」ごとに英文を区切り、その部分ごとに少しずつ書き取っていく方法がお勧めです。
注意)ただし、1単語ずつ音声を区切るとリテンション(記憶する力)がほとんど身に付かないため、そのようなやり方はお勧めしません。
ディクテーションの注意点
英文をディクテーションするときのリスニングの回数は、1ヶ所に付き3~5回程度が目安となります。
一般に、英語音声が正しく聴き取れないときの原因は、
1)単語・語彙力 2)文法・読解力 3)発音力 に分類できます。 つまり、1)~3)のどれかが不足した状態でリスニングを繰り返しても聴き取れるようになりません。 5回聴いてもわからない箇所はあきらめましょう。 ただし、ただ空白にするのではなく、次のように「聞こえた通りの音」をカタカナで書いておくと、後で分析するときに役立ちます。 例)She ピキダッ and ウェンダウ. ⇒ 解答: She picked it up and went out. この場合は、「子音と母音のリンキング」「単語の子音どめ」などの発音ルールへの理解不足が「聴き取れなかった原因」です。 3~5回聴いたらディクテーションを終了し、次へ進みます。 |
答案の自己採点と間違い箇所の分析
ディクテーションが終わったら、解答スクリプトと照らし合わせて答案を自己採点します。
聴き取れない箇所やスペルミスのあった場合は、ここからが本題です。
「勘が当たった!」「2個まちがえた・・・」と一喜一憂しても英語力は伸びないので、答案を冷静に分析しましょう。
繰り返しになりますが、一般に、英語音声が正しく聴き取れないときの原因は次の3つに大別されます。
【リスニングの間違いパターンの分類】
間違い箇所がこのうちどれに相当するのか明らかにし、弱点をしっかり克服すれば、確実に聴き取れるようになります。
1)または2)が原因で聴き取れなかったとき
この場合はリスニング力の問題ではなく、単語・語彙力と文法・読解力を強化するのが課題です。
「自分の知らない単語」は聴き取れませんし、「読んで意味のわからない英文」は聴いても理解できないからです。
中学校で学習した英語の基礎を忘れている場合は、まだディクテーションに取り組む段階ではありません。
まずは基本的な単語と英文法を徹底的に復習し、初心者レベルから脱却しましょう。
3)が原因で聴き取れなかったとき
「読めば理解できる英文を聴き取れなかった」ということですから、純粋にリスニング対策が必要です。
表現を変えると、これは発音力の問題です。なぜなら、自分で発音できない音は聴き取れないからです。
つまり、「ネイティブが話すときの発音」と「自分がもっている音の感覚」にズレがあるのが聴き取れない要因です。
自分で英文を朗読したものを録音し、ネイティブの音声と聴き比べてみると、その違いがよくわかります。
比較して「なんか発音が全然違う・・・」と感じる箇所、そこがたぶん「正しく聴き取れなかった箇所」です。
解決法としては、ネイティブの発音を真似すればいいわけですが、日本語との発声法の違いを根本的にわかっていないとなかなか難しいです。
■単語のシラブルと強弱リズム
■発音ルール(単語の連結、脱落、弱形 etc)
■英文の強弱リズム
これらの「英語発音の特徴」を十分に理解したうえで、聴き取れなかった原因がこのうちどれにあたるのかを分析しましょう。
この地道な作業こそが自分のリスニング力の弱点をあぶり出し、「読める英語が聴き取れない」という問題の解決につながるのです。
ディクテーション(書き取り)してみよう
実際に英語ニュースの素材で練習してみましょう。こちらのネイティブ音声は意味の区切りごとにポーズで区切ったナレーションです。
音声が途切れたところで一時停止し、聞こえてきた英文をディクテーション(書き取り)してください。この作業を最後まで繰り返してみましょう。
上の英語ニュース音声のテキストは次の通りです。
間違った箇所がある場合は、原因が1)~3)のどれにあたるのか分析してみてくださいね。
【中級レベルを今度こそ脱却したいあなたへ!】
英語ニュースを正確にリスニングしたい方、中級から上級へ確実にレベルアップしたい方、メルマガの「穴埋めリスニングQuiz企画」に無料で参加しませんか。
ディクテーションとは、「英文を見ずに音声を聞いて、正確に書き取る訓練方法」です。
火曜15時の〆切までにQuiz答案を提出した方を対象に無料採点をおこない、不正解箇所から、リスニングや語彙・文法などの弱点を特定します!