スイスの米でおにぎり

スイスやドイツでは、日本のお米のような主食にあたるのは何だと思いますか? パンも毎日のように食卓に並びますが、彼らにとっては“じゃがいも”が穀物の代わりになるそうなんです。スイスのホームステイ先でそういわれたときはびっくりしました。

だって、じゃがいもは野菜でしょー?って思ったんですが、ずっとその感覚で献立を考えてるといわれました。

キッチンの風景

確かに、じゃがいもはよく食卓に登場していましたが、あれは、スイス人にとっては白いご飯の感覚だったんでしょうか・・・。

お米は毎日食べるわけじゃなくて、やはりピラフのように炒めたものが多かったですね。通常、長細くてパサパサした米を使うので、白米の感覚で炊いてもあまりおいしくないと思います。

以前、米不足のときに緊急輸入されたタイ米みたいな感覚かな?でも、現地の人は日本人ほどお米の味を気にしていないようです。

ほかに、“ミルクライス”という丸くて水分の多い米もあります。なんでも、牛乳で煮込むときに使うそうですが、それっておいしいんでしょうかね~。このミルクライスが、実は、寄宿学校での日本文化の実習の際に大活躍したのです。おにぎりを作るときに、最初は日本のお米がいいと思ったんですが、これを調達するのはちょっと大変。

スイスではもともと物価が高いうえに、日本料理の材料店へ行くと、もう、ばかばかしいぐらいの値段で商品を売っているのです。日本なら200円ぐらいの味のリが1000円相当だったりして、ちょっと買おうかって気にはなれません。だから、軽くて日もちのするもの(ふりかけなど)は日本から持っていったほうがよっぽど安上がりなんです。

だから、なんとかスイスの通常のお米で代用できないか、といろいろ実験した結果、日本のお米の味に一番近いのがミルクライスだったのです。値段もまあまあだったので、これでおにぎりを作りました。日本から持参したのりやふりかけ、かつおぶしがあったので重宝しました。生徒たちにも手伝ってもらったのですが、これがけっこう見ものだったんです。

アフリカやヨーロッパの子供たちは、そもそも「ライスボール」が何なのかもよくわかっていないので、当然、“にぎる”という感覚がありません。やり方を教えても簡単には覚えられないため、自己流でやってもらったところ、まるで、粘土をこねるように手のひらでくるくると回して球状の形に仕上げていました。

(なんか、おにぎりって感じじゃないなあ)と思ったものの、そこはご愛嬌。皆、自分の作品に満足していたようです。彼らにしてみれば、初めて日本の味作りに挑戦した、という経験が大事だったのでしょう。日本ではあたりまえのように食べているおにぎりやふりかけご飯も、外国人にとっては “感動の味”になりうるのです。

日本文化の授業以外でも、ことあるごとにおにぎりやてんぷらをふるまいましたが、そのたびに、材料や作り方について熱心にきいてくる人がいました。ごく簡単なものであっても、自国の味をほめられると日本人としてうれしいものです。異文化交流の一環として、食べ物ってけっこう威力あるのかもしれません。

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