JICAが「ホームタウン」事業撤回【JICA Cancels “Hometown” Project】

【中級脱出のリスニング特訓!】Topicの背景

JICA(国際協力機構)が国内の自治体をアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定する交流事業を白紙撤回したようです。

SNS上で「移民を定住させる制度」という誤解が拡散し、自治体に抗議の電話やメールが殺到したためです。

私もXのタイムラインで「日本の市町村が乗っ取られる!」といった危機感を煽る投稿を見て驚きました。

確かに「ホームタウン」という名称が紛らわしいですし、交流の趣旨を最初に説明しておけば防げた事態では、と残念です。

今回は、このテーマに関する英語ニュースをお届けします。

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Step1:全体リスニング

まずは英語ニュース全体の要点を理解するリスニング訓練です。

次の各質問の答えを探しながら聞きましょう。

Q1: What has JICA canceled?

Q2: What happened after misinformation spread online?

Q3: What should JICA have done, according to some experts?

1回目で答えがわからないときは、最大3回まで音声を再生しましょう

【ナチュラルスピード】

英文

JICA Cancels “Hometown” Project


JICA has canceled its program pairing four local governments with African nations.

These municipalities were to hold exchanges with their partner countries as their “hometowns”.

But misinformation spread online, saying the plan would make immigrants settle in Japan.

As a result, angry phone calls and emails flooded the local offices, straining their staff.

Some experts say JICA should have explained the project more clearly to the public.

和訳

JICAが「ホームタウン」事業を撤回


国際協力機構は、4つの地方自治体とアフリカの国々を結ぶ交流事業を撤回した。

これらの自治体は、それぞれの相手国と「ホームタウン」として交流を行う予定だった。

しかし、ネット上で「移民を日本に定住させる制度だ」という誤った情報が拡散した。

その結果、各自治体の役所には抗議の電話やメールが殺到し、職員が対応に追われた。

一部の専門家は、JICAがこの事業を国民にもっと明確に説明すべきだったと指摘している。

質問の解答例

Q1: What has JICA canceled?

– A1: It has canceled its program pairing four local governments with African nations.

Q2: What happened after misinformation spread online?

– A2: Angry phone calls and emails flooded the local offices, straining their staff.

Q3: What should JICA have done, according to some experts?

– A3: Some experts say JICA should have explained the project more clearly to the public.

Step2:重要単語と語句

音声を再生し、強勢のある母音(=大きな赤文字)を意識しながら次の手順で練習しましょう。

①「単語の綴りと意味」を見ながら音声をリピートし、意味を確認。

②「単語の綴りと意味」を閉じて音声をリピートし、一時停止して和訳。

単語の綴りと意味

pair /per/(名・動)組、対;組にする

municipality /mjuːˌnɪsəˈpæləti/(名)自治体、市町村

misinformation /ˌmɪsɪnfərˈmeɪʃən/(名)誤った情報

immigrant /ˈɪməɡrənt/(名)(外国からの)移民、入国定住者

strain /streɪn/(名・動)負担、緊張;緊張させる、負担をかける

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ディクテーションQuizに参加した方、特に満点を逃した方は「不正解になった原因を突き止め、今後、同様の間違いを防ぐ」ために必ず解説をご確認ください。答案分析をせず放置する人は、ディクテーションをする意味がありません。

Step3:リッスン&リピート

1文ずつ区切ったスロー音声を再生し、文字を見ずにリピートしましょう。最大3回まで音声を流してOKです。

できれば、リピートした直後に英文をディクテーション(書き取り)してみましょう。

次に英文を確認し、リピートやディクテーションを間違っていた箇所がないか確認してください。

今度は「母音のストレス・音の連結・止める子音」などの発音ルールに気をつけて音声を再生し、文字を見ながらゆっくり正確に2〜5回リピートしましょう。

その後、文字を見ないで2回正確にリピートできたらOKです。

▶和訳を見る前に、理解度クイズにもぜひ挑戦してください。

なお、英文のスラッシュはStep4の和訳用です。音読のときは、スラッシュで区切らず一文を一気に読み上げてください。

Step4:サイトトランスレーション(スラッシュ和訳)

スラッシュで区切った英文を表示し、区切りごとに日本語に訳します。後ろから返り読みせず、英語の語順のまま読み進めてください

この訳し方を「サイト・トランスレーション」といいます。英語の語順のまま理解する習慣がつくと、英文を読むスピードが格段に速くなります。

まず自分で訳してから和訳例と比較してみましょう。意味が違っていた箇所は、語彙と文法構造を確認し、間違った原因を明らかにする必要があります。

Step5:反訳トレーニング(和文英訳)

今度は、和訳のみを見ながら元の英文を口頭で再現する「反訳トレーニング」に挑戦しましょう。

その際、英文テキストと全く同じでなくても、意味がほぼ同じで文法的にも正しければOKです。

余力があれば、単語の一部を入れ替える「パラフレーズ」練習もやってみましょう。

1)

スラッシュ英文

大きな赤い文字:強勢(=アクセント)のある母音

下線:音の連結 ( ):子音の脱落  ■t,d,k,g,p,b:子音の飲み込み

JICA has canceled / its program / pairing four local governments / with Africa(n) nations.

スラッシュ和訳

国際協力機構は撤回した、その事業を、4つの地方自治体を結ぶ、アフリカの国々と。

⇒ 国際協力機構は、4つの地方自治体とアフリカの国々を結ぶ交流事業を撤回した。

2)

スラッシュ英文

These municipalities / were to hold exchanges / wi(th) their partner countries / as their “hometowns”.

スラッシュ和訳

これらの自治体は、交流を行う予定だった、それぞれの相手国と、それらの「ホームタウン」として。

⇒ これらの自治体は、それぞれの相手国と「ホームタウン」として交流を行う予定だった。

3)

スラッシュ英文

But misinformation spread / online, / saying / the plan would make immigrants settle / in Japan.

スラッシュ和訳

しかし、誤った情報が拡散した、ネット上で、以下のような、この制度は移民を定住させるものだと、日本に。
⇒ しかし、ネット上で「移民を日本に定住させる制度だ」という誤った情報が拡散した。

4)

スラッシュ英文

As a result, / angry phone calls and emails / flooded the local offices, / straining their staff.

スラッシュ和訳

その結果、抗議の電話やメールが、各自治体の役所に殺到した、そして職員が対応に追われた

⇒ その結果、各自治体の役所には抗議の電話やメールが殺到し、職員が対応に追われた。

5)

スラッシュ英文

Some experts say / JICA should (h)ave explained / the project / more clearly / to the public.

スラッシュ和訳

一部の専門家は、JICAが説明すべきだったと、この事業を、もっと明確に、国民に。

⇒ 一部の専門家は、JICAがこの事業を国民にもっと明確に説明すべきだったと指摘している。

Step6:オーバーラッピング&シャドーイング

上記の英文を表示しながらスロースピードの音声を通しで再生し、自分の声をかぶせてオーバーラッピングします。回数の目安は5回です。

余力があれば、次に英文を閉じて音声を再生し、1,2語遅れで追いかけるシャドーイングに挑戦しましょう。こちらも5回を目安にしてください。

【スロースピード】

英文

JICA Cancels “Hometown” Project


JICA has canceled its program pairing four local governments with African nations.

These municipalities were to hold exchanges with their partner countries as their “hometowns”.

But misinformation spread online, saying the plan would make immigrants settle in Japan.

As a result, angry phone calls and emails flooded the local offices, straining their staff.

Some experts say JICA should have explained the project more clearly to the public.

Step7: 仕上げの全体リスニング

最後に、英文を見ない状態でナチュラル・スピードの英語ニュースを通しでもう一度聞いて仕上げましょう

途中、聞き取りにくい箇所があったら前のStepに戻って内容を確認してくださいね。

【ナチュラルスピード】

無料企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績発表

ここからはメルマガ企画「穴埋めディクテーション」の正解と解説・成績優秀者の発表です。

上記の英語ニュースを公開する前に、メルマガ読者さんを対象に以下の要領で英文のディクテーションQuizを出題しました。

現在の英語力を語彙力・文法読解・発音力の点から客観的に測定する作業」です。英語ニュースの音声を聞き、各空欄に入る英文を正確に書き取ってください。

空欄に入る箇所は、途中で止めずに一気に聞かないと訓練の効果がありません。また、聞く回数はできれば2回以下、最大5回程度を目安にしてください。

5回聞いてわからない箇所は「今の英語力では正確に聞き取れない箇所」です。そこを自分の弱点だと理解し、解答を見て原因を分析するのが上達の近道です。

>> 答案採点のチェックポイント

メルマガ企画「穴埋めディクテーションQuiz」答案と成績発表

メルマガ読者の皆様、答案ご提出とコメントありがとうございました!詳細は上記リンクをクリックするとご覧になれます。

満点率(リスニング回数「2回以内」の条件付):8% ▶最優秀賞(満点):5名

各設問の正答率(リスニング回数が3回以上の場合も含む)
Q1の正答率 Q2の正答率 Q3の正答率
46% 46% 26%

※各設問の正解率はリスニング回数を反映しておらず、3回以上聞いた場合も含まれています。

ディクテーション答案の講評

今週のディクテーションQuizの難易度は標準です。満点は5名、全問正解率は8%という結果でした。

今回は弱音の機能語(前置詞や冠詞)を聞き間違えた人が多かったので、英文全体のリズムをしっかりつかみましょう。

各設問の正解のポイントをまとめましたので、詳細は下記をご覧ください。

設問1)JICA has canceled its program (           ).


正解と答案分析

JICA has canceled its program (pairing four local governments with African nations).

主な不正解事例)

▶数字の「four」を前置詞の「for」と聞き間違えた。

⇒「four local governments(4つの地方自治体)」という意味なので、前置詞にすると意味が通りません。

また、重要な意味がある内容語の「four」は抑揚を上げて強く読むのに対し、単なるつなぎ言葉の「for」は抑揚を下げて弱く読みます。

この読み方の違いを理解していれば、聞き間違えることはありません。

設問2)These municipalities were (              ) as their “hometowns”.


正解と答案分析

These municipalities were (to hold exchanges with their partner countries) as their “hometowns”.

主な不正解事例)

▶ 不定詞の「to」を聞き逃して「hold exchanges」から書き取ってしまった。

⇒「be to + 動詞の原形:〜することになっている」という構文です。to不定詞を省くと「were hold(be動詞 + 一般動詞)」という順序で並んでしまい、文法的に成立しません。

設問3) But misinformation spread online, saying (              ).


正解と答案分析

But misinformation spread online, saying (the plan would make immigrants settle in Japan).

主な不正解事例)

▶ 助動詞「would」を「will」と聞き間違えた。

⇒ ここではSNS上の発言を間接話法で示しているため、時制の一致を取って助動詞が過去形になっています。語尾の音の違いに注意しましょう。

いかがでしたか。不正解箇所のある人は、間違えた原因をしっかり分析して今後につなげましょう。

次回のディクテーションQuizもふるってご参加ください。

このTopicに関するディスカッション用の質問と解答例

このTopicに関連する2つの重要質問と解答例を作成しました。

ディスカッションの練習として、各質問に15〜20秒で答えてください。

質問リスト

Q1) How do you feel about calling a foreign partner a “hometown”?(外国のパートナーを「ホームタウン」と呼ぶことについてどう感じますか。)

Q2) Are you against an increase in foreign immigrants in Japan?(日本に外国人の移民が増えることに反対ですか。)


Q1) How do you feel about calling a foreign partner a “hometown”?

解答例

A1) I think it sounds a little strange, because “hometown” usually means your birthplace. But if it helps people feel closer to the foreign country, I don’t really mind using it.

Q2) Are you against an increase in foreign immigrants in Japan?

解答例

A2) No, I’m not against it. Japan has a shrinking population, so we need more workers. Of course, immigrants should follow our laws, but diversity could make society more open and interesting.

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