完璧な発音をめざす前に

 

先日の学習コラムで、「大きな声でゆっくり話すことが、流暢な発音よりも優先すべき課題」という内容をお伝えしました。

誤解のないよう補足すると、正確に発音するのはとても重要なことです。

が、自分の声が相手に届かなければ意味がありません。

なので、小さな声でぼそぼそと話す習慣のある人は、まず、相手に聴き取ってもらえる話し方に変える必要があります。

私の英語教室の受講生の中に、こんなプロフィールの女性がいます。

〇 日本で生まれ育ち、海外経験がほとんどない。
〇 日本の普通の学校教育で英語を習った。

〇 社会人になってから英語を再学習し始めた。
〇 TOEICスコアは800点を超えている。

常に前向きで熱心に学ぶ人なので、スピーキング力も伸びています。

彼女の話す英語は、声が大きくはきはきしているのが特徴です。

また、速度もゆったりしているため聴き取りやすいです。

英語の発音や抑揚については、まだ日本語訛りが残っています。

先日、日本人の英語に慣れていないアメリカ人男性に、彼女の英語を録音音声で聴いてもらう機会がありました。

その英語がどれぐらい聴き取れたかを確認すると、

「相手に伝えよう、という意欲が伝わってくる声で非常に印象が良く、意味はおおむね(7割ぐらい)聴き取れた。」

との返答でした。

残りの3割は、母音や子音の音、抑揚などが日本語訛りになっていたため、意味が正しく伝わらないか、別の単語に聞こえた部分です。

彼女の場合、ここを改善すればOK、ということがわかりました。

このアメリカ人の男性は、これも先日の逸話でお話しした、「日系航空会社のフライトアテンダントが話した機内アナウンスの英語が、ひと言も理解できなかった」という経験のある人です。

理解できなかった原因はおそらく、そのフライトアテンダントが「早口でぼそぼそと」英語を話していたからです。

この2つの例が示す通り、自分では流暢に話しているつもりでも、相手に意味が伝わっていないことがけっこうあります。

逆に、「大きな声でゆったりと話す」ことを心がければ、日本語訛りの発音でも、伝わる割合がぐんと増えます。

周囲の日本人の英語を聴くとき、自分の耳にすんなり入ってくる声とそうでない声があるかと思います。

その違いは、必ずしも「英語が流暢かどうか」ではないはずです。

相手にとって心地よく響く話し方とは何か、それを常に意識することが大事ですね。